短編‡よこたわるくうき。
きっちり1週間後に、あちらは帰ってきた。
アキラはあらかじめ『お帰りなさい』と書いた紙を置いておいた。
紙の上においてあるのは、100円均一で買った陶器の置物だ。
紙が飛んでいかないようにという配慮だった。
その日、夕食を食べていたアキラの耳に、コンコンという音が聞こえた。
その音の聞こえてきた方向。
窓を見る。
あちらの窓が閉まる音が聞こえた。
そっと窓を開けると、白濁した液体が入ったペットボトルと、メモが置いてあった。
『ただいまです。じつは牧場に行ってました。親せきの手伝いと、体力づくりです。むこうで、牛乳をしぼりました。よかったら飲んでください。おみやげです。』
アキラは眉根を寄せて、笑っていた。
他人ではない。
友人ではない。
知り合いと呼べるのかも、わからない。
不安定な関係。