十人十恋-じゅうにんとこい-
玲と一緒に寝て、何日か経った。
あの唇に当たったものは、なんだろうなー。
そして、玲は俺を起こしてくれるようになった。
「あと、十五分…」
「あと、十五分じゃ、朝ごはん食べられないでしょ」
「んぁ」
ここ数日、玲と瑛子の様子が変わった。
瑛子はなぜか元気が無くなり、玲は世話焼きになっていた。
玲に起こされて、俺はリビングに向かった。
リビングに向かうと、瑛子の食べ残しがあった。珍しい。
「瑛ちゃんが食べ残してる…晴ちゃん、瑛ちゃんに何かあったか知ってる?」
「知らねーよ」
どうせ、恋とかだろ。
…?恋?
最近、玲といると嬉しいような…、んなわけないか。
と思いつつ、味噌汁とご飯を食べて、歯を磨いて、玲と一緒に学校に行った。
教室に行くと、クラスメイトが『今日も夫婦で、登校か?』とか言われた。
玲は嬉しそうに笑いながら返していた。
友達とダベってたら、チャイムがなって、席に着いた。
朝礼が終わって、授業も終わって、昼休みになった。
「ハルくん、一緒にお弁当食べよ?」
「んぁ」
「“んぁ”以外に返事の言葉は無いの?」
「アー↑ハ↓」
「英語で答えないの。それ、みっちゃんが教えてくれた、“うん”の言い方じゃない」
「一緒に弁当食うって、どこで食うんだ?」
「校庭で食べよ」
「んぁ」
玲に誘われて、俺と玲は校庭へ行った。
「外って気持ちいいね」
「そうだな」
「もうすぐ、衣替えね」
「んぁ」
「肌の露出…ヤダな」
と世間話してたら、玲は芝生に座るように言われた。