十人十恋-じゅうにんとこい-
心配だったので、しばらく瑛子と一緒にいた。

やっぱり、感情的になって動こうとするトコロを見ると、『まだ中坊じゃん』って思う。

「ねぇ、晴彦、晴彦は大人になっても変わらないよね?」

「んー、わかんねーけど、メシのつまみ食いの喧嘩は変わんねーだろ」

「ふーん。そう」

瑛子がこんな弱ったところを見せるのは、久しぶりだ。

たまに、こんな風に話が出来るんだから、俺らは仲が良い兄妹なんだろ。

「…晴彦、その、ありがとう……」

「あぁ。ドウイタシマシテ」

「晴彦と話したい気分だから、話して良い?時間ある?」

「んぁ」

と、瑛子が話し始めた。

最近、中学であったコト、

自分の顔にソックリな野朗を好きになったコト

他にもいろいろ、教えてくれた。

保護者会から帰ってきたお袋が五分くらいくつろいで、

メシを作り始めた。

「あら?晴ちゃんと瑛ちゃん、今日は一緒にいるの?めずらしい」

「まぁな」

瑛子が服を脱いで、自分の部屋に行った。

メシが出来て、テーブルに座ってメシを食べた。

今日も親父はメシの時間に居なかった。

夜は、テレビ見ながら宿題して、自分の部屋に行って寝た。
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