十人十恋-じゅうにんとこい-
朝、玲が起こしに来てくれた。

そして、起きるとサッサと着替えるように言われて、着替えた。

着替え終わって、リビングに行こうとした。

…リビングからカレーの臭いがする。

とりあえず、メシ食うためにリビングに行った。

玲が小声で「おばさん、ピリピリしてるわね」っつった。

確かにピリピリしてるな。

「あ、晴彦、きらちゃん、おはよう」

「んぁ、おはよう。アレ?親父いたのか」

親父は気まずそうに「んぁ、あぁ…」って言った。

「はい、お父さん、今日の朝食は、お父さんの好きな刺身とカレーよ」

ヤバ。俺もあんなのを食わされるのか?!

でも、瑛子は普通の朝ごはんのメニューを食ってるし…

「晴ちゃん、これは“お父さんだけの”スペシャルメニューだから、瑛ちゃんと同じので、良いわよね?」

「ぜひとも、瑛子と同じのでお願いします」

その『お父さんだけのスペシャルメニュー』は親父の好きなものを一緒に混ぜたカンジだった。

具体的につーと、カレーにマヨネーズがかかってあって、カレーの上に刺身があった。

く、食いたくねー…

瑛子が小声で「不倫、バレた…みたい…」と言って、逃げるように朝ごはんを食べ終えた。

「はい、貴方。あーん」

お袋が満面の笑顔で、ソレを親父に食べさせていた。

うわ…不倫した親父がわりぃーけど、同情するわ…

俺も急いでご飯を食べて、逃げた。

外へ出て、玲と一緒に学校に行ってる最中、

玲が「カレーの臭い、するよ?」つって、俺にスプレーをかけてくれた。

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