十人十恋-じゅうにんとこい-
家に帰ってきたら、瑛子がいなかった。

いつも通りに戻ってくれて良かった。

玲が俺ん家に来た。

お袋がピリピリして、何するかわかんねーし、怖いから、玲が俺ん家に来たけど、

俺は玲ん家に行こうと、誘った。

玲も身の危険を感じたらしく、「うん。そうね…」と言って、隣の家に行った。

俺と玲は一緒に宿題した。

玲は、実は俺より賢かったりする。

不登校だったのに。理由は「家庭教師が居たから」だとか。

そして、玲は玲のお袋さんと親父さんの話をし始めた。

「うちのお父さんとお母さん、パティシエの修行中にフランスで会ったの。そして、同棲して、お父さんが先にパティシエになって、お母さんは後で、パティシエになったの」

「へー…何かすげーな。お前の両親」

「ありがとう。それでね、お母さんがパティシエになった時のお祝いに、プロポーズしたんだって。お母さんは、泣きながら『はい』って言ったんだって」

「何か、ロマンチックだなー」

「でしょ?私もあんな風になりたいなぁ…」

ソレを聞いた俺はドキドキした。

やっぱり、一つ上を越えるべきか?

いやいや、最初は手を繋いで、次に抱きしめあって、そして、キスとか…?

うわあああああ!!

自分で考えて自分で恥ずかしくなっちまった…

この後、一緒に宿題をしたが、集中出来なかった…ハァ。
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