十人十恋-じゅうにんとこい-
「何かココだけ、人がまったくいないってカンジだったけど、変わってないね」

「そうだな。なぁ、上見てみろよ」

玲は空を見上げた。

「すっごーい!キレイ…だね」

「あぁ」

「何座がどうとか、わかんないけど」

「俺もわかんねーや」

「あはは」

玲は俺にもたれかかってきた。

「懐かしいよね。ここで天体観測したよね」

ヤバイ。ドキドキする。しかも、良い雰囲気だ。

ここは、やっぱ…

「あ、玲!」

「何?」

ちゅ。

「は、反則よ…。いきなり、キスなんて」

玲が赤くなってるのがわかる。

「ご、ごめん。でも、何かスッキリした」

鼓動が速くなってきてやがる…

何か、話しにくくなった…

「スッキリしたって…何か、おかしいよ?…でも初めてだよね。こうやって、ハルくんからしてくれるの」

玲は俺に笑って言った。

俺は玲の笑顔を見て、照れた。

「あ、あぁ」

「ハルくん、顔赤いよ?」

「お、お前こそ…」

俺は恥ずかし過ぎて、玲の顔は見なかったけど、玲が今、どんな顔をしているのか、想像出来た。

「ハルくん、デートに誘ってくれて、ありがとう」

「あ、あぁ…」

頼りない返事をしながら、俺は最高の笑顔で返事をした。













最初は幼馴染とこんな関係になれるわけ無いと思っていた。

けど、そうでも無かった。

時間に流れに乗って、人は変わってしまう。

でも、人が変わっても、心の中に変わらない思い出がある。

俺は、玲と出会えて幸せだ。

ありがとう。





幼恋。-おさなこい-、ニシロ・ハルヒコと、トウドウ・アキラの、場合。

おしまい。


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