十人十恋-じゅうにんとこい-
「ねえねえ、一緒にモルさんと写ろうよ!」

白川さんがカメラを持ち出して、僕に言った。

「え?でも、僕は別に写真とか写りたくないし…」

「じゃあ、私、モルさんとこに行くね。でも、本当に良いの?」

「良いよ」

眠た過ぎて、素っ気無い返事をしてしまった。

ゴメンナサイ、白川さん。

でも君みたいな明るい人間は、僕みたいな暗い人間と関わらない方が良いと思う。

僕なんて白川さんみたいに、クラスをまとめられないし、内向的だし…

ハァ。

何か、ダメだなぁ…。僕って。

「良い子の皆さん、空森公園に来てくれたモルさんにお礼をしましょう」

「「「モルさん、ありがとー」」」

白川さんもちびっ子と一緒にモルさんに“ありがとう”って言った。

モルさんは公園から出て行って、公園の入り口にいた人たちも何人か帰っていった。

今はお昼の十二時。

「お昼ご飯、何食べようかな。私、この辺の近くにある猫カフェ知ってるよ」

カフェなんて行ったら、僕のサンドイッチ食べられないじゃないか

「あ、あの…コレ、母さんが白川さんと僕に…って」

と僕は言ってサンドイッチが入っている箱を出した。
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