十人十恋-じゅうにんとこい-
宿題、面倒くさいな…。

四時間目が数学だったので、もうお昼休みだ。

昼休みは大好きだ。だって、自分の作ったお弁当を食べられるから。

「黒山、美味しそうだな。ソレ」

「あ、あぁ…。母さんが作ったんだよ。いつまでも子供扱いして、困るんだよね」

さっき、言った事はまったくの嘘である。

“男の癖に弁当作ってる”って思われると嫌だからだ。

僕は食べながら、白川さんを見た。

「それ、ご当地限定で期間限定なのに、紗世(サヨ)ちゃんって買ってきてくれなくてさ~、“こんなの可愛くないわよ”なんて言ったんだよ。酷くない?」

ご当地限定で期間限定…?

あぁ、白川さんも“モルさん”が好きなんだ。

モルさんとは、モルモットのゆるきゃらで、僕が集めているグッズのこと。去年から有名になってきて、今では、どこでも見るようになった。

ちなみに僕のお弁当箱も水色のモルさんのお弁当箱。

黙々と食べていたら、白川さんが寄ってきた。
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