INCOMPLETE A PICTURE BOOK
[〉小さな出会い
恐る恐る目をあけてみればそこにあったのは潤の予想通りのせかい。
といっても、普通のエレベーターみたいな空間だが……
「……なんか、おかしくない?予想通りすぎるんだけど」
すると保険医、もとい緒方先生はため息を吐いた。
「この世界はお前が無意識に作る世界の一つだ。詳しい説明は帰ったらしてやるから、今は集中しろ」
集中しろもなにも、始めから集中などしていない。
しているのは“緊張”で、間違っても集中ではない。
でもここで言い返すのは見るからに得策ではない。
「はいはい」
潤は自分に、“大人、大人”と言い聞かせた。