INCOMPLETE A PICTURE BOOK
潤はただ呆然とすることしかできなかった。
「叶え……、られなかった?」
「そういう事になりますね」
こんな時でさえ、声の調子はかわらない。
「そ……ん、な」
足の力が抜けた。
倒れそうになった潤を緒方が支えた。
「しっかりしろ。お前がしっかりしないと、この空間が壊れる」
――壊れてしまえ
一瞬そう願おうかと考えたが、すぐにやめた。
こんなところでウダウダしている暇なんかない。
立ち直って、次の仕事に取り掛からないといけないのだ。