INCOMPLETE A PICTURE BOOK
「……そうですか。母と同じ言葉を……」
心にヒビか入る。
思い出したくない。
ろくに記憶なんかないのに。
思い出すほどの記憶はあたしにはなかった。
「……願いが、あるんです」
潤はこんなところに世間話をしに来たわけではない。
願いを叶えるために来たのだ。
「叶う願いは一つだけ。それでもやりますか?」
なんて阿呆らしいことを聞くんだろう。
本気で思った。
「当たり前です」
空はあたしと先生を見ている。
「まぁ、俺も覚悟はしてるよ。いろいろと」