INCOMPLETE A PICTURE BOOK
「そしてあらわれたのは」
「あたし……」
「そうだ」
緒方に足りなかった力。
空間をあやつる力を持った少女。
このとき緒方は大体のことを知っていた。
叶う願いが一つだということも。
「もし知っているなら俺は何も知らないフリで、力すら貸す気もなかった。でもお前の持っている知識はあまりにも限定されていた」
「だから使えると思った」
緒方の言葉を潤が引き継ぐ。
「あぁ」
聞きたくなかった同意の言葉。