INCOMPLETE A PICTURE BOOK
空が開けた扉の向こうに広がっていたのは普通の家のリビング。
「案外普通なんだな」
横で緒方が呟いたのを聞いた。
「……なん、で?」
異変に気が付いた緒方は潤に声をかけた。
「どうした?」
「ここ、あたしが前に住んでた家のリビングだ……」
一人暮らしをする前の家。
両親とあたしの思い出がたくさんつまったリビングだった。
「ここはあなたのイメージ世界ですから」
空がわけの分からないことを言った。
「……終わったら説明するよ」
説明を緒方に求めれば、こちらも見ないで返された。