INCOMPLETE A PICTURE BOOK



それでも動けなかったのは怖かったから。


まどかに拒絶されるのが。


緒方のようにいきなりいなくなるくらいなら、はじめからいないほうがいい。



でも心のどこかでは求めてる。


友達を。
まどかを。




自分から動くってすごく勇気がいる。




まどかもあたしに声をかけるとき、そんな気持ちだったのかな?




そうだったらなんとなく嬉しい。



勇気を出すに値すると思われていたことがすごくうれしいて思えた。



――行こう!




緒方は自分のもとから去っていった。



きっとそれにもそれなりの勇気がいることで。




自分もそれに答えなければならなかった。



誰かに言われたわけじゃない。

でもこれから先の人生はきっといい意味でも、悪い意味でも、緒方を思い出すだろう。



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