INCOMPLETE A PICTURE BOOK



緒方は「そうか……」といって下を向いた。



「何そんなくらい顔してんのっ?別に寂しいわけじゃないし、」



重い空気になりたくなくて、わざと得意な作り笑いでその場を盛り上げようとした。


「でもお前、あの時、淋しそうな顔してたから」




見られていたのか。




「まぁ、懐かしいこと思い出したからじゃない?」



それでもなお、潤は笑う。



「……こんなこと聞くのは間違ってると思うけど聞かせてくれ。お前の願いは、両親に関係する事か?」



わかってるなら聞いてほしくないね。そんなこと。



潤は笑うだけ。



「秘密」



< 86 / 269 >

この作品をシェア

pagetop