INCOMPLETE A PICTURE BOOK



あたしは今おそろしく帰りたい。


どうせ帰っても1人だけど。



「とにかく帰ります」



緒方が潤を引き止めた理由をろくに考えなかった。



「まあ待て。俺の仕事はただいま終わりました」



「で?」



まぁ、そうなるわな。




「送ってやるよ」






「……車?」



「今の間が気になるが、車だ」



それを聞いて潤は考えた。


歩く。30分。
走る。20分。
タクシー。5分足らず。プラス金。



先生の車。5分足らず。プラスただ。




「お願いします」



「垣間見た欲望は気が付かない振りしてやる」



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