リップノイズ
*眉根を寄せる (1)
彼女はうまい物を食うときもあくびをするときも感動して泣くときも、俺に鳴かされるときも、眉間にしわを寄せる
「見てみてー!」
ドタバタと俺の部屋に入ってきた。かわいらしいケーキボックスを両手にもった。俺の彼女。
「店長が『今日お誕生日でだろ』ってくれたの!」
俺の机に置いていた雑誌やら何やらをざーっと押しのけてチョンと置いた。
俺は彼女のコートに積もった雪を見てみて外は雪か、とカーテンを開けた。
「店長がね、『学生じゃあ彼氏、ケーキ変えないだろうから俺からの誕生日プレゼントだ』ってくれたの」
結露したガラスから雪が積もった景色が見えた。
「あれ?雪ひどくなってるねぇ。」
ひょこひょこと俺の隣に来る今日20歳になった女。
「明日、雪つもるかな?」
きっとその後は『一緒に雪合戦しようね。』だ。
その前に俺は彼女の唇を襲う。
彼女が飲み込んだ言葉にはオレは拒否する。寒いのは嫌だ。
俺の部屋で2人っきりで温まろう。
俺が満足するまで帰さない。なんたって今俺は嫉妬中。
息が苦しくなった彼女は俺の一番好きな表情で、荒い呼吸を繰り返す。
"眉根を寄せる"
やばい、ゾクゾクする(20120202)