HIMAWARI
第一章 出会いの朝
ピピピピッ!
目覚まし時計によって私の眠りは妨げられた。
「うぅ~ん・・・」
昨日夜ふかしをしたせいかすんごく眠い。
あ・・・あと5分寝たい。
「ユリアー、起きてる?遅刻するわよっ」
お母さんの声によって私は渋々ベットから出て学校へ行く支度を始めた。
階段をゆっくり降りながらあくびをひとつかます。
キッチンにたどり着くと頭ぼさぼさでノーメイクのお母さんがいた。
「おはようユリア。・・・って、朝食は?」
「あぁ~・・・今日食欲ないんだぁ」
おどけて笑ってみせるとお母さんは
「あら、そうなの?」
と言って食器を片付けはじめた。
ローファーを履き玄関を出る。
歩いて10分のバス停でバスの乗車し、30分間バスに揺られて
私の通う集聖高校(シュウセイコウコウ)へと向かう。
ガッタン
「キャッ!」
突然バスが揺れ、生徒手帳がかばんから落ちた。
拾おうと手を伸ばすと別の手がそれを拾った。
「これ、キミの?」
拾ってくれたのは20代くらいの男だった。
「あ!ハイそうです。」
私はにっこり笑ってそう答えた。そして、返してもらうように右手を差し出す。
だけど・・・男は返すそぶりを見せない。
「ふぅ~ん。キミ集聖高校の1年生なんだぁ」
ゾクリッ
外は夏だというのに寒気がした。
「名前は、北里ユリア・・・きたざとユリアちゃんっていうんだ~」
男は二ヤッと笑ってそう言った。ますます寒気がしてくる。
「あの、返してくれませんか?」
おずおずと私は言った。
「えぇ~。どうしよっかなぁ?」
・・・はぁっ!?
それ私のなんですけど。早く返してよ。
イライラが頂点に達し、気付いたら私は怒りをぶちまけていた。
「ねぇ、あんたしつこすぎっ!さっさと返してよ!!」