HIMAWARI
人の波にもみくちゃにされながらも必死に名前を叫ぶ。
でも、来てくれるはずがなかった。
「は、離してよっ!やだ・・」
こんな事になるんなら来るんじゃなかった。
後悔しても仕方ない。でもそう思うしかなかった。
もうやだ、泣きそう・・・
私の頬を一筋の涙がつたっていく。
その次の瞬間、私は誰かの胸に抱かれていた。
肩で息をしているその人はとても安心する心地いい香りがする。
「何してんだよっ!」
「別に何もしてねぇし。・・・チッ。んだよ。男つきかよ」
そのまま機嫌悪そうにチャラ男は去っていった。
ホッとしたらなぜか涙がこみあげてくる。
「うっ・・ひっく」
そんな私に気付いて優しい言葉をかけてくれた。
「どした?どっか痛いか?俺、気付かなくて・・・先行っちゃって
ゴメンな?」