HIMAWARI


恐怖で震える唇。にじむ視界。

頭がぐらっとして体が傾いた。


そんな私の体を支えた誰かの温かい手。


誰・・・?


次の瞬間、体がふわっと軽くなった。

そう・・・お姫様だっこみたいに。


これは、夢・・・だよね?


そんな疑問を最後に、私はゆっくりとまぶたを閉じた。










パチッ


目を開けると、紅葉の顔がどアップで前にある。


「ユ・・・ユリアが起きたよぉっ~。うぇぇぇん。よ・・・よがったぁぁ!!」


なんだか勝手に泣き叫んでいる紅葉。


「ど・・どしたの?私、大丈夫だよ?」

「うっ・・でっ、でも心配したんだからねぇっ!!・・・ひっく」


涙声で言う紅葉がすごく可愛く思える。


「うん。・・・みんな、ありがと」
< 49 / 71 >

この作品をシェア

pagetop