恋愛詩人
「ねぇ雅奈恵。ファミレスに何の用なの??」

疑問しか浮かばない私は、雅奈恵に問いかけた。

「んー?特になしっ!」

「えぇっ!!?」

じゃあ何で来たの??と思いながら、私はコーヒーを飲む。

「だってさ、ユキ何か悩んでるみたいだから…。羽柴君の事?」

その名を聞いた途端、私の気持ちは沈んだ。

黒く暗い、冷たい水に。

「うん…。悠太と元の関係に戻る為には、どうすれば良いのかなって…」

俯いて、揺らぐコーヒーの水面をじっと見つめながら言った。

「う~ん…。記憶ってさ、ちょっとしたきっかけで戻るって言うじゃん?羽柴君との一番のきっかけをまた再現すれば、戻るんじゃない?」

きっかけ……。

私と悠太の、一番の……。


―――そうだ……。

「アリガト雅奈恵!」

そう言い残して。


私は、ファミレスを後にして、全力で走った。


良く二人で行った、あの場所に
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