恋愛詩人
「…晃」

呼び掛けると、晃は悲しそうに寂しそうに、眉を潜める。

その彼を、私は抱き寄せた。

「…え…?」

晃の顔はまたしても赤くなる。
目を大きく見開いて、私の目をを見つめる。

「…私も好きだよ、晃…」

そう、晃の耳元で囁く。

耳に触れるか触れないかの距離で。


今度は私が、晃の唇を奪った。

――決められた恋で良い。

定められた愛で良い。

私が、晃の事を好きだと思えれば。

晃が、私の事を好きだと思ってくれていれば。

――それで良い…。


私はその素敵な運命に、従順に従うだけだから。
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