恋愛詩人
―――時は、半年前に遡る。

私にとって敬介は、かけがえの無い彼氏だった。

告白したのは、敬介の方から。

それで私もOKして、付き合い始めた。

…あの時は幸せで、思いもしなかった。


あんな惨劇が起こるなんて――


――ある日。

まだお互い18歳と言う若い年頃だけれど、結婚する事にした。

嬉しくて仕方がなくて、愉快な気分で式場に向かい、入り口を開けた。


―――式場は、赤く、紅く血に染まっていた。
知人、家族、友人…。
皆、血に染まり倒れていた。

そんな中、唯一立っていた人物が独り―――。

桂川 敬介。

彼は両手に銃を持ち、全身に返り血を浴びていた。

そして、私に笑みを浮かべる。

それはいつものような優しくて無邪気な笑顔ではなく。

冷笑とも捉えられる、邪悪に歪んだ気味の悪い笑み…。

その表情を見せて、彼は裏口から立ち去った。


――後に判った事なのだが、彼は逃亡中の殺し屋らしい。
そして、今も―――。

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