恋愛詩人
彼女は何と、寝ていた。

僕からのメールを見てなお、寝ていたのだ。

無防備過ぎて、殺すのはとても容易い。

――だがそれでは面白くない。

それに、彼女を殺す動機は、依頼されたからではなく、邪魔になったからでもない。

だから…彼女の命は今、僕の掌の上。

「…約束通り、戯れに来たよ」

そう囁いて、僕は彼女の黒いサラサラな髪に触れる。

次に頭をそっと撫でる。

「ん…」

今ので目覚めてしまったのか、彼女の茶色い目が微かに開く。

だが、こちらの方を向いていないところを見ると、今自分がどういう状況か理解出来ないらしい。

「けい、すけ…?」

先程の声が聞こえていたのか、弱々しい声音で僕の名を呼ぶ。

「――お休み。」

僕がそう言うと、彼女は目を閉じて、可愛い寝顔に戻る。

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