年上彼氏

それでも まだ期待してる。


待ってる。

ケンジさんの唇の感触が忘れられない。


私はケンジさんの店に電話を掛けた。


電話に出たケンジさんは、よそよそしい声で。

『リコちゃん、どうしたの?』


どうしたの?どうもしないし。


『もしもし?』

ケンジさんがキスしたから。

『もしもし?』


『ケンジさん、どうしてキスしたの?』


電話の向こうでケンジさんは無言。


暫らくの沈黙の後…

『ごめん、仕事中だから』

『じゃ、終わったら電話して。メールでもいい』


『わかったよ。じゃあね』

電話は切れた。
< 59 / 278 >

この作品をシェア

pagetop