魂、いただきます
最後の願い
 その日起こった震度4の地震は、老朽化の進んだ校舎の外壁をわずかに崩した。

 崩れたコンクリート片は、4階の高さから、その下の生徒に直撃した。

 校舎全体から見れば、わずかな大きさでしかなかったが、破片は、その生徒を意識不明にさせるには充分な重さと加速度を有していた。

 その生徒、宮乃を庇ったサトシが意識不明の重体で入院しているのを宮乃が知ったのは、やはり同じ病院の病室のベッドの中だった。

 サトシが突き飛ばす形で覆い被さったために地面に頭を打ち、気絶していたところを一緒に運ばれてきたのだった。

 宮乃自身は大した怪我はなく、念の為に一晩入院することになったにすぎない。

 消灯時間が過ぎた頃、目が覚めて寝付けない宮乃はそっと病室を抜け出し、サトシの病室に向かった。
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