魂、いただきます
 言ってから宮乃は気付いた。

「判りました。願いを受理します」

「ちょっとまって、今のは無し、単なる言葉のアヤよ」

「残念ですが、一度受理された願いは変更も取り消しもできません」

「ま、いいか、あと一つ残ってるし」

「彼の願いは、あなたを守ることです」

「へっ?」

「正確には、あの地震からあなたを守ることです」

「でも、あの地震って、あたしの願いで……」

「いいえ、あれは予定されていたことです。あのとき彼は落ちてくる破片に気付いて、瞬間的に願ったのです。だからあなたは無事で済みました」

「それじゃあ、あたしの願いは?」

「それはこれからです。このあと彼は意識を回復しますが、医療ミスで半身不髄となり寝たきりになります。もっとも、魂はこれから抜いてしまうので、この体には彼の表層人格しか残りませんがね。楽しみにしていてくださいね。素晴らしい復讐を演出してあげますから」

 楽しげに悪魔は言った。
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