魂、いただきます
 どうやって死のうか?

 首を吊る?あれは後が美しくない。

 電車に飛び込む?ばらばらぐちゃぐちゃはやだな。

 毒を飲む?どこに毒がある?

 海へ身投げ?土左衛門て醜いし。

 少し考えて宮乃は、机の引き出しにしまってあるナイフを取り出した。

 それは刃渡り20センチほどのハンターナイフで、茶色い革の鞘に収まっていた。

 前に、おもしろ半分で買った代物だ。

 滑らかで硬質なブレードは、見ているだけで溜め息が出てしまう。

 これで物を切ったことはないけれど、指先で刃を確かめるとその鋭さは確かな感触を返してくる。

 良く切れそう。

 そうだ、このナイフで手首を切ろう。

 やり方は決まった。

 宮乃は刃をぐっと左手首に押し付けた。

 そして、気軽にナイフを引いた。
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