月魄の罪歌
束の間、辺りに眩い光が起きた。
「アオギリ様!!」
千年樹を囲うようにして生えた、紅蓮の月下美人を掻き分けて、白髪…というより、銀に近い髪色をした女が突然現れた。
女は千年樹に向かって呼び掛ける。
すると、一輪の風が吹き、女は少し目を細めた。
頭上では、先程まで茜色をしていた空に、一番星が煌めいていた。
もうすぐ月が昇る。
しかし、彼女の深紅の唇が、形を変えて「気づいていたとは……さすがは紅蘭様、と言うことですか。……ですが、ここまではお分かりではないでしょう。本日マリーゴールドの花が「明日、この世界に人界の子供が四人、紛れ込んでくる」と予言しました」