月魄の罪歌

      ◆◇◆◇◆

とある日、とある時間、とある場所。
船の甲板で、話合う二人の女がいた。

「それにしても……別荘なんて、漫画の世界だけかと思ってた……」

そんな感嘆の声を漏らしたのは、林道日向子。

「そう?別に普通だと思うわよ??」

もう一人の女は、本当に分かってないようで、頭にはてなマークが浮かぶ。
この女、綾宇治瑠璃は、「綾宇治財閥の社長令嬢及び次期社長」という、まぁいわゆるお金持ち。
そんなお金持ちと、一般人日向子との関係性は「幼馴染み」だ。
小さい頃から何かと一緒にいた二人。
当時から大金を当たり前のように使っいた彼女と、こつこつ一円玉を貯金箱に貯め、千円貯まったことに喜びを感じる日向子との金銭感覚が合うはずがない事は一目瞭然なことだったのだ。
それを理解した日向子は、曖昧な笑みを浮かべた。
瑠璃はそれに笑顔で返して、別の話題をふる。


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