月魄の罪歌


「瑠璃姉ェも大変だね~…」

一人、甲板に残された日向子はため息をつく。
ステッキに両手を付き、後ろへ体重を預けた

『壱哉』とは、夏目壱哉のことだ。
見てわかる通り、佑哉とは血縁者である。
一卵性双生児。
姿形がそっくりな彼らは医学的にはそういうらしい。
だが、そっくりなのは見た目だけ。
中身は全然違う。
佑哉は体を動かすのが好きな運動好きだが、壱哉が好きなのは主に「女性」だ。
そう、彼は無類の女好き。
「上は27歳、下は8才までいける!!」
と豪語している位の。
そして、いそれは「幼馴染み」という枠には縛られないらしく、瑠璃はいつもの愚痴を言っている。
まぁ、日向子としては関係ない事だから右から左へ流しているのだが。
悲しいことに。


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