わがまま王子様とパン焼き少女
考えている間にも、どんどんラグナスと離れていく。


もう一度、ラグナスの方を向く。

いつの間にか、空には先まで、輝いていた月は消えていた。

真っ暗な空に朝日が昇る。

その瞬間が合図だったかのように私はラグナスに背を向けた。


これでいい……。これでよかったんだ。
私は店に帰ろうとした……。




私は大切なことを忘れていた。





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