わがまま王子様とパン焼き少女
そう言うとラグナスは私を持ち上げた。


『何すんのよ!?』


お姫様抱っこされてるし!抵抗をしたいけど、力が入んない………。


ラグナスは私をソファーに寝かせると、キッチンに向かった。


シーンと静まり返った店に生地を捏ねる音が聞こえる。

ラグナスの真剣な表情が更に私を悩ませる。


何で?私の為にそんな事やるの?


そんな事やられたらもっと好きになってしまう。


これ以上ラグナスの事を好きになってしまったら、いつかきっと………。

私の思いが溢れ出してしまうに決まってる。



ラグナス、アンタは狡いよ………。




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