《短編》猫とチョコ
止むことなく、今日も雨が降り続く。


だけど今日は空ではなく、校庭を見下ろした。


あんまり考えたくないけど、起こしてやってもみぃが来る確立なんて大分低い。


てゆーか、あの態度はないだろう。


思い出すとまた、怒りが込み上げてくる。


朝の時点で何回、この怒りを必死で抑えただろう。




―ガラガラ…

「―――ッ!」


瞬間、ドアの開く音に気付いて顔を向けた。


そこには大きなあくびで教室に入ってくるみぃの姿。


あたしも驚いていたけど、クラスのみんなも大分驚いていた。



『…あ、おはよ。』



馬鹿にしているのかと思った。


“ちゃんと起きて来たのね♪”なんて言えるほど、あたしに余裕はない。



「ちょっと、みぃ―――」


『そうそう。
購買行ったついでに、ヒナのも買っといてやったから。』


「―――ッ!」


あたしの言葉を遮りみぃは、持っていたジュースのうちのひとつをあたしの机の上に置いた。


こんなんで帳消しになんか出来るはずもないけど。


こんなことをされては、怒るに怒れない。



「…あたしの機嫌取ろうっての?」


『…何が?
てゆーかヒナ、最近怒りっぽいな。』


「―――ッ!」



これは本当に、気付いてないんだろうか。


そしてまるで、あたしがひとりで怒っている。


いや、いつもなんだけど。


だけどその原因の半分以上は、みぃだ。



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