《短編》猫とチョコ
予鈴が鳴り、サクラと春本くんは自分の席に戻っていった。


サクラの顔は、喜びを隠せないって感じだし。


帰って行く二人の後姿を見届けて、みぃはゆっくりと口を開いた。



『…ヒナ、どー思う?』


「…何が?」


ため息をつき、みぃの言葉なんて耳に入ってこない。


あたしの頭の中には、彼氏に何て言えば良いかでイッパイなのだ。



『あの二人。』


その言葉に、ようやくあたしはみぃの方に顔を向けた。



『…少なくともハルは、サクラちゃんが好きだと思うけど。
多分、サクラちゃんもじゃない?』


「―――ッ!」


思ってもみないことを、みぃは口にしたのだ。



「…春本くんが…そー言ってたの…?」


『…いや、断言はしてないけど、それっぽいことは言ってた。』


瞬間、あたしは笑顔に変わった。


これは、もしなくなても、既に両思いじゃない!



『…俺ら、適当にはぐれれば良いじゃん。』



まさかみぃは、そこまで考えて了解したの?



「みぃが実は友達思いだなんて、知らなかったよ!!」



このとき初めて、あたしはみぃのことをちょっとだけ良いヤツなんだと思った。


そして何気に、そーゆーのに気付くタイプだとも。


いや、サクラはわかりやすいからか?



『…だからヒナも、その後にでも彼氏クンと合流すれば?
俺も、誘われてるし。』



最後の一言は余計だけど。


何か、見直して損しちゃったし。



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