《短編》猫とチョコ
『…男に振られたくらいで、人生諦めちゃダメだろ。
何なら、俺が誰か紹介してやろうか?』
「…いらないよ、みぃみたいなのなんか…」
口を尖らせて言うあたしに、みぃは笑いながら体を離した。
猫だと思ってたみぃだけど、ちゃんと男なんだって気付いた。
「…八つ当たりしてごめん。
ホントにもぉ大丈夫だから、みぃは女の子のとこ行ってあげなよ。」
『…ヒナ、どーすんの?』
「…わかんないけど、適当に屋台見て帰ろうかな。」
涙を拭き、今度は作ってなんかいない顔で少しだけ口角を上げた。
不覚にも涙を見られてしまったから、みぃと居ると気恥ずかしい。
『…じゃあ、今日はトコトン付き合ってやるって!
それに、駅の方まで送る約束だったし。』
「―――ッ!」
約束なんか、してないけど。
「…ダメだって!
女の子どーすんの?!」
『…またで良いじゃん。』
キョトンとして言うみぃに、あたしはため息を混じらせた。
“また”って、お祭りは年に一度なのに。
『行くぞ!』
「―――ッ!」
白い目で見ていた瞬間、みぃはあたしの手を引いた。
着慣れない浴衣で転びそうになりながら、引っ張られるままにあたしは石段を降りる。
昼間はあれほど寝てばっかのくせに。
夜はこんなにも元気なんだ、って。
やっぱり猫だ。
そんな風に思った。
再び近づく屋台の明かりだけど、心持はさっきとはまるで違うほどに軽い。
悔しいけど多分、みぃのおかげなんだろう。
何なら、俺が誰か紹介してやろうか?』
「…いらないよ、みぃみたいなのなんか…」
口を尖らせて言うあたしに、みぃは笑いながら体を離した。
猫だと思ってたみぃだけど、ちゃんと男なんだって気付いた。
「…八つ当たりしてごめん。
ホントにもぉ大丈夫だから、みぃは女の子のとこ行ってあげなよ。」
『…ヒナ、どーすんの?』
「…わかんないけど、適当に屋台見て帰ろうかな。」
涙を拭き、今度は作ってなんかいない顔で少しだけ口角を上げた。
不覚にも涙を見られてしまったから、みぃと居ると気恥ずかしい。
『…じゃあ、今日はトコトン付き合ってやるって!
それに、駅の方まで送る約束だったし。』
「―――ッ!」
約束なんか、してないけど。
「…ダメだって!
女の子どーすんの?!」
『…またで良いじゃん。』
キョトンとして言うみぃに、あたしはため息を混じらせた。
“また”って、お祭りは年に一度なのに。
『行くぞ!』
「―――ッ!」
白い目で見ていた瞬間、みぃはあたしの手を引いた。
着慣れない浴衣で転びそうになりながら、引っ張られるままにあたしは石段を降りる。
昼間はあれほど寝てばっかのくせに。
夜はこんなにも元気なんだ、って。
やっぱり猫だ。
そんな風に思った。
再び近づく屋台の明かりだけど、心持はさっきとはまるで違うほどに軽い。
悔しいけど多分、みぃのおかげなんだろう。