《短編》猫とチョコ
結局、クラスを仕切るのも委員会で発言するのも、全てあたし。


諦めていたとは言え、その仕事量の違いに納得なんて出来なくて。


出来る限り、みぃと相談するようにした。



「…考える気あるの?」


『ははっ、あるある!』



なのにやっぱり、みぃはこんな調子。


だけど結局は女の子に優しいのかみぃは、一応ちゃんと最後まで付き合ってくれる。


資料作りで居残りするあたしに、同じように見てるだけだけど残ってくれたり。


しかも、委員会で遅くなった日には、途中まで送ってくれたりするのだ。





「…最近みぃって、モテなくなってるよね。」


ふと気付き、誰も居ない教室で向かいに座るみぃに聞いた。


前よりも短くなった陽が窓から朱色になって差し込み、

規則的に並ぶ机や椅子で長い影が出来ている。


今日も相変わらずの資料作成。


そんなさなか、思いついたことだけど。


何となくだけど、一学期ほど女の子が周りに居ないし。


ついに、みぃのモテ期も終わったのだろう、って。


そんな風に思った。



『…失礼な。
これでも、ちょっとは真面目になることを決めたんだぞ?』


「…真面目?」


その言葉に、噴出しそうになった。


口から出ている言葉は、何と不似合いなんだろう。



『…だって、“チャラい!”とか言うだろ?
ヒナが怒ると怖いしさぁ。』


「―――ッ!」


『それに、ヒナ見てたら一途なのも楽しそうかと思って♪』


笑って言ってるみぃに、あたしは言葉が返せなかった。


本当に、みぃに他意はないんだろうけど。


あたしが“チャラい”って言っただけで、みぃは女の子と遊ぶのやめたの?


不覚にも、勘違いしてしまいそうになる。


みぃは、そんな意味で言ってるんじゃないってわかってるのに。


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