《短編》猫とチョコ
『…最近みぃくんとよく一緒に居るよね。』


「―――ッ!」


昼休み、一緒にお弁当を食べながらサクラは、声を潜ませて顔を近づけた。


あの日以来、何となくみぃを意識してしまうだけに、思わず驚いて言葉に詰まる。



「…しょーがないじゃん、文化祭まで日にちないんだし。」


口を尖らせながらあたしは、ご飯を口に運んだ。



『でも二人、結構似合ってると思うけど?』



みぃなんかと、お似合いだなんて思われたくない。


あたしは、あんなダメな男とは違うんだ。


確かに友達ではあるけど、それ以上だなんて思ってない。


あの日は、ちょっと変だっただけ。


大体、自分が春本くんとラブラブだからって、あたしまでみぃとくっつけないで欲しい。



「冗談にもなってない。」


あたしの言葉に、サクラは少し不満気味。


そんな日々が流れて。


日曜日には自由登校で準備をして、月曜の文化祭に備えることになった。


“自由登校”なんて言っても、うちのクラスはまだ、看板作りとかが残ってるし。


たこ焼き屋をするので、材料の買出しや下準備なんかもしなきゃならない。


だから実質、クラスメイトのほとんどが来なければならないのだ。


だけどそれが終われば、やっと文化祭の委員から解放されるわけだけど。



『信頼してるぞ!
頑張ってくれよ、文化祭委員!』


“信頼”なんて言いながら、押し付けてるだけの担任の言葉。



『…だって、ヒナ。』


まるで他人事のみぃ。


本当にあたしは、どこまで頑張れば良いんだろうか。


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