《短編》猫とチョコ
文化祭前日の日曜日。


もちろんあたしとみぃは、買出し係までさせられた。


みんなで集まるのは午後だってのに、

午前中からあたし達は働かなければならないなんて。



『…あと、何買えば良いんだっけ?』


「学校の近くのスーパーで食材買えば終わるから。」


そんな会話をしながら、学校の方に足を進めた。


日曜だってのにあたし達は制服だから、みんなの視線がちょっと痛い。


だから、なるべく学校の近くで買い揃えることにした。



『…そーいやヒナ、彼氏とか出来た?』


重い物を持ってくれたみぃは、並んで歩きながら聞いてきた。



「…そんなの居ないし。
それ以前に、好きな人すら居ないかも。」


こんな会話をしていることだし、あたし達はお互いに恋愛対象とかじゃない。


“みぃは?”と、あたしは聞き返す。


真面目になった宣言を聞いて以来、正直ちょっと気になってしまう。



『ヒナには内緒♪』


そう言ってみぃは、相変わらず真面目には答えてくれなかった。


友達なのに、隠されるのって何か嫌。


口を尖らせあたしは、みぃを見上げる。



『ははっ!
ヒナ、怒ってるー!』


結局、上手くかわされてしまって。


最近みぃは、誤魔化す方法を覚えたらしい。



「…でもまぁ、みぃが真面目になったんだったら良いんじゃない?
これで校内も平和になるよ。」


『うわっ!
俺ってどんなイメージだよ!』



サクラにはあぁ言ったけど、結局のところみぃと居ると楽だし楽しかったのだ。


だけど、それだけでしかなかった。



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