《短編》猫とチョコ
日が沈みきり、すっかり薄暗くなった。
あれほど賑やかだった校舎に、今は誰も居ない。
ただあたしは、今日の日の余韻に浸るように窓の外を眺めていた。
『…ヒナ?
まだ居たの…?』
声に振り返ると、そこに居たのはみぃだった。
もぉ、誰も居ないと思っていたのに。
「あっ、うん。
何か、あっけないなぁって思って。」
『…頑張ったもんな。』
そう言ってみぃが差し出したのは、あたしの大好きなイチゴジュース。
同じものを持っているみぃは、パックのジュースで乾杯のポーズ。
そんな仕草に少しだけ笑い、反転して窓に背をつけた。
『…なぁ、ヒナ。』
「ん?」
窓の外を見つめるみぃは、こちらを向かないまま言葉を続けた。
『…今度、どっか行く?』
「―――ッ!」
『ほら、結局ヒナに全部任せたじゃん?
ヒナ頑張ってたし、ちゃんとお礼したくって。』
秋の夜の風が、あたし達の間を優しく吹き抜けた。
昼間の馬鹿みたいな顔じゃなく、その横顔に戸惑うことしか出来なくて。
「…うん…」
呟くように言った言葉に、みぃは何も言わなかった。
『…帰らなきゃ、遅くなるよ。』
甘いイチゴジュースの香りが風に運ばれて鼻をつく。
甘い顔したみぃにピッタリの香り。
あたしの中に燻ぶり始めたほろ苦さが、余計に際立つ気がするよ。
あれほど賑やかだった校舎に、今は誰も居ない。
ただあたしは、今日の日の余韻に浸るように窓の外を眺めていた。
『…ヒナ?
まだ居たの…?』
声に振り返ると、そこに居たのはみぃだった。
もぉ、誰も居ないと思っていたのに。
「あっ、うん。
何か、あっけないなぁって思って。」
『…頑張ったもんな。』
そう言ってみぃが差し出したのは、あたしの大好きなイチゴジュース。
同じものを持っているみぃは、パックのジュースで乾杯のポーズ。
そんな仕草に少しだけ笑い、反転して窓に背をつけた。
『…なぁ、ヒナ。』
「ん?」
窓の外を見つめるみぃは、こちらを向かないまま言葉を続けた。
『…今度、どっか行く?』
「―――ッ!」
『ほら、結局ヒナに全部任せたじゃん?
ヒナ頑張ってたし、ちゃんとお礼したくって。』
秋の夜の風が、あたし達の間を優しく吹き抜けた。
昼間の馬鹿みたいな顔じゃなく、その横顔に戸惑うことしか出来なくて。
「…うん…」
呟くように言った言葉に、みぃは何も言わなかった。
『…帰らなきゃ、遅くなるよ。』
甘いイチゴジュースの香りが風に運ばれて鼻をつく。
甘い顔したみぃにピッタリの香り。
あたしの中に燻ぶり始めたほろ苦さが、余計に際立つ気がするよ。