《短編》猫とチョコ
『…ヒナが呼び出されたって聞いて、男からの告白なのかと思ったのに。
面白そうだからついでに見に来たのに、違ってて残念(笑)』


「―――ッ!」


何も言わないあたしを、みぃの言葉が突き刺した。


改めて、みぃはあたしのことを友達以上には思ってないんだ、って。


気付きたくなかったのに。


息苦しくて、呼吸も上手く出来なくて。


締め付けられる胸が、ただ痛かった。


みぃの所為で呼び出されたのに。


こんなにのん気な顔して笑ってるのが、許せない。



「…結局直らないんだね、その性格。」


『…えっ…?』


いい加減、疲れ果てた。


真面目になる宣言をしても、勝手に女の子は寄って来る。


好かれてることを嫌がるようなことを言いながらも結局、

愛想を振りまいてるんだから。


思わせぶりなことばかりする、みぃが嫌い。


みぃがいつもあたしの隣に居るのに、

それでもあたしに告白しようなんて思う人が居るはずなのに。


何で平気で、そんなことを言えるんだろう。


睨むあたしを、みぃは戸惑うように見つめた。



「あたしがあんなのと世間話してたと思う?!」


『…何か、言われた?』


瞬間に、みぃは眉をしかめた。


誰の所為でこんなこと言われたと思ってるのよ!



「みぃの問題に、あたしを巻き込まないで!!」


声を上げて睨み付け、振り払うように教室へと走った。


もぉ、こんなのたくさんだ。


元々、チャラい人なんて大嫌いだったはずなのに。


いつの間にかみぃに気を許して、なつかれるのを好きと勘違いして。


本当に、馬鹿みたいな自分。



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