《短編》猫とチョコ
『…ヒナさん、教科書見せてください。』
「…またですか?」
いつの間にかみぃは、あたしのことを“ヒナ”とか呼んでいた。
彼曰く、あたしの名前は長くて呼びにくいらしい。
“小柳陽菜子”って名前のどこが悪い。
だけどあたしも春本くんにつられるように、いつの間にか“みぃ”って呼んでいた。
「…この前も、“今回だけ!”とか言ってたじゃん!
いい加減、持ってきなよ。」
『…ソレ、英語の教科書のとき。』
その言葉に、あたしは毎度のことながらため息をついた。
まるであたしは、春本くん二号のように、みぃの世話係。
仕方ないのだ。
4人で居れば、自然とサクラと春本くんを喋らせようとしてしまう。
そうすると必然的に、あたしはみぃと話すことが多くなっていくから。
嫌いではなくなっていたけど、好きでもなかった。
あたしは、彼氏が好きだったから。
「…じゃあ物理の教科書も、今回だけだからね?」
念を押すように言ったあたしの言葉に、みぃは口を尖らせるように不機嫌になる。
「…そんな顔してもダメだよ。
みぃが悪いんだからね!」
『…ケチ。』
今度不機嫌になるのは、あたしの方。
と言うより、みぃと喋っているとわざとあたしをムカつかせているのかと思う。
だけどあたしも、子供じゃないから。
大人で冷静な態度で臨まなければ、みぃとは喋れない。
「…みぃ。」
『…わかったよ。
今日だけだから、見せてください。』
いつも折れるのは、みぃの方。
怒られるのは、好きじゃないらしい。
その前に、怒らせなければ良いのに。
「…またですか?」
いつの間にかみぃは、あたしのことを“ヒナ”とか呼んでいた。
彼曰く、あたしの名前は長くて呼びにくいらしい。
“小柳陽菜子”って名前のどこが悪い。
だけどあたしも春本くんにつられるように、いつの間にか“みぃ”って呼んでいた。
「…この前も、“今回だけ!”とか言ってたじゃん!
いい加減、持ってきなよ。」
『…ソレ、英語の教科書のとき。』
その言葉に、あたしは毎度のことながらため息をついた。
まるであたしは、春本くん二号のように、みぃの世話係。
仕方ないのだ。
4人で居れば、自然とサクラと春本くんを喋らせようとしてしまう。
そうすると必然的に、あたしはみぃと話すことが多くなっていくから。
嫌いではなくなっていたけど、好きでもなかった。
あたしは、彼氏が好きだったから。
「…じゃあ物理の教科書も、今回だけだからね?」
念を押すように言ったあたしの言葉に、みぃは口を尖らせるように不機嫌になる。
「…そんな顔してもダメだよ。
みぃが悪いんだからね!」
『…ケチ。』
今度不機嫌になるのは、あたしの方。
と言うより、みぃと喋っているとわざとあたしをムカつかせているのかと思う。
だけどあたしも、子供じゃないから。
大人で冷静な態度で臨まなければ、みぃとは喋れない。
「…みぃ。」
『…わかったよ。
今日だけだから、見せてください。』
いつも折れるのは、みぃの方。
怒られるのは、好きじゃないらしい。
その前に、怒らせなければ良いのに。