初彼=偽彼氏


「……誰でも良いかと聞かれたら……誰でも良いんだろうな――」


 ほら誰でも良いんじゃない。


「……そうなんだ。じゃあ誰でも良いならあたしじゃなくても全然良いハズ」


「そうかもね。だけど…オレは君が良い」


 あたしのどこが――? いまいちまだ神藤くんのキャラが掴めないでいるあたしは――どうしたら良いの。
 だって、素の神藤くんと、作ってるキャラの神藤くんは全く違うって神藤くん本人もそう言ってた。でも、目の前にいるあたしと話してる神藤くんは両方入ってて…。どう対応したら良い……?


「――待ってあたしが良いって――神藤くん、あたしのどこが良いの?……」


 …それはすごく気になるけど――。


「……でもその前にっ!偽彼女役をしてほしい…それは話を聞いてなんとなくわかりました」


「……なんだよ、わかったなら良いだろ」


「けどその理由を聞かされないまま、"彼女のフリをしてくれ"…ってそう言われても、納得出来るわけないでしょ?ちゃんと理由言われてるわけでもないのに」


「……ふっ。確かにその通り。はははっ。いや~姫季…お前…オレの想像通りだ」


「…あたし名前呼んで良いなんて一言も言ってなーいっ」


< 22 / 59 >

この作品をシェア

pagetop