初彼=偽彼氏
「……まあでも一番大騒ぎだったの悠華とさゆかも。姫季がいなくなったあと、姫季の後ろ着いて行こうとしてたし」
「―…っは!?」
――案の定、その声だけ大きな声を出してしまい、周りから色んな視線が突き刺さった。
「……なにそれ?」
今度は誰にも聞こえないように、ちゃんと小声で話した。
「あ~、でもそれは菜月がさすがに止めてたよ。しかも教室のドアの前に立って説教みたいなことして。まあ……あの2人相手だし、かなり苦戦してたみたいだけどね」
――あの2人って……瑞穂のその言い方もどうかと思うんだけど……。
「…そっか」
「うん。だから姫季、さっさとあの3人のとこ行った方が良いんじゃない?」
「――えぇ?」
「…うちと話してるのは全然構わなけど…。でも――あの3人の視線ひたすらこっちしか見ないから怖いというか……。超気になってるっていう感じだから行ったら行ったで対応が大変だと思うけど」
「それならもっとヤだっ」
横目で視線を確認してみれば、瑞穂が言った通り視線が痛い――
「――気持ちはわかる。でも…まぁ頑張って?」
「っ…わかった。行きたくないけど…行ってくるっ!」