初彼=偽彼氏


 ……なんか上手く追い払われた気がするんだけど……

 それに瑞穂に『頑張って!』と、あんな爽やかな笑顔で言われたら――。
 ああ…もう、行くしかないじゃない。


 仕方なく手を振って瑞穂と別れ、菜月、さゆ、悠華の3人の元へ向かう。


 ……予想してた通り、
あたしがなにかを発する前に、さゆの『姫ちゃーん』って声が発しられ。


 ――あまり時間がないのに……これは嫌な予感しかしない――…。


「……なに?」


 思ったよりも低い声が出てしまった。


「……もう姫ちゃんっ!そんな嫌そうな顔しないでよ~」


「だってなに聞かれるかわかんないのに」


「……ふふっ」


 だからその笑顔が怖いんだって。



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