初彼=偽彼氏


「……神藤くんっ!?」


「なんで姫季は寝てんの」


「――約束の時間から大分遅れてるから……ほら、こんな天気でしょ?眠くなっちゃって(苦笑)」


 『へぇ~』と言いながら、あたしの目の前にある椅子に座る神藤くん。


「……そうだ。あのあと、色々みんなが神藤くんのこと教えてくれた」


「……そうなんだ?」


「――神藤くん凄い有名人だったんだね。神藤くんのこと知らない人いなかった。だから神藤くんのこと知らなかったあたしは、やっぱり色々言われたし……あたし、この学校で異例の人らしいよ」


「…ははっ、そうなの」


「――てか生徒会役員だったんだね。それから神藤グループの孫っていうのも聞いたよ。全く信じられなかったけど」


「……初めにオレから言っといた方が良かった?」


「……ん~どっちもどっちかな、どちらにしても信じてなかったと思うし。わかんない」


「そういうもんなの?」


「あたしはね。――それで……呼び出したあたしが言うのもなんだけど、生徒会忙しいよね、今大丈夫なの?会議とかない?」


「大丈夫。全部終わらせてきたから」


 だから遅れてきたんだね…。


「そう…なんだ」


 なんか申し訳ないや…


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