初彼=偽彼氏
「そっか~、わかったよ、仕方ないし、話すよ。あ、……でも少しだけ声のトーン落としてもらっても良い?」
「…うん?」
「……みんなに聞かれたらめんどくさいからね」
「……みんなって?」
誰のこと?
「…ったく姫季鈍いな。周りを見渡してみれば多分わかるハズだよ」
「周り…?」
「そう」
周りって、あたしたちの周り?
神藤くんにそう言われて気になったから、周りを見渡してみたところ……
…あ~、なるほどね。
これは神藤くんが言ったことに納得だ――
どこから聞き付けたか知らないけど、あたしたちの周りを色んな人が囲んでいる。
しかもそのほとんどっていうか全部が女の子…、その女の子逹は多分、神藤くんを見るために来てる子達だ。
「……場所移動する?」
一応少しだけ配慮する案を言ってみたら、少し考えてる動作をした神藤くんが
「いや、平気だよ」
そう言うからこのまま同じ場所で話すことになった。