初彼=偽彼氏


「そっか~、わかったよ、仕方ないし、話すよ。あ、……でも少しだけ声のトーン落としてもらっても良い?」


「…うん?」


「……みんなに聞かれたらめんどくさいからね」


「……みんなって?」


 誰のこと?


「…ったく姫季鈍いな。周りを見渡してみれば多分わかるハズだよ」


「周り…?」


「そう」


 周りって、あたしたちの周り?


 神藤くんにそう言われて気になったから、周りを見渡してみたところ……



 …あ~、なるほどね。
 これは神藤くんが言ったことに納得だ――


 どこから聞き付けたか知らないけど、あたしたちの周りを色んな人が囲んでいる。

 しかもそのほとんどっていうか全部が女の子…、その女の子逹は多分、神藤くんを見るために来てる子達だ。


「……場所移動する?」


 一応少しだけ配慮する案を言ってみたら、少し考えてる動作をした神藤くんが


「いや、平気だよ」


 そう言うからこのまま同じ場所で話すことになった。



< 48 / 59 >

この作品をシェア

pagetop