初彼=偽彼氏
「姫ちゃん、好きな人出来たぁ?」
「なんでまた?」
なんで急に好きな人なんだろ。
「だって、たまには姫ちゃんの恋バナ聞きたいじゃんっ。いっつもさゆか悠華の話聞いてもらうばかりで……」
さゆの顔が見るみるうちにしょぼんとした顔つきに変わったから、少し反応に困ってしまい…返す言葉が見つからなかった。
「あたしは…べつに…。さゆや悠華の恋バナで十分楽しんでるよ…?まあ…たまにはさゆや悠華のばっかりじゃなくて菜月の話を聞いてみたいって時もあったりするけど」
「―…え?わたしの恋バナはムリだよ!?拓真の話とかそういうの絶対ムリ!」
拓真とは菜月と1年半とちょっと付き合ってる菜月の彼氏さんである。
「…まっ、たまに電話で聞けるからあたしは良いけどっ♪」
「……っていうかうちら4人の中で彼氏いないの姫季だけだから…ちょっと心配」
そうなんだ――。
悠華もさゆも……そして菜月も――みんな彼氏がいるんだ。
グループで彼氏がいないのはあたしだけで。
おかげさまで(?)最近こういったことが増えてきた。
「……心配?なんで?」