魔法をかけて
プロローグ
「みなさん、よくこの大学に来てくださいました。……―――。」
うららかな春の日差しの下、大学の体育館で入学式が行われているなか、あくびを噛み締めている男が1人。
名は、花田翔平。
推薦で昨年には大学進学が確定していた翔平にとって、この日はとても待ち遠しかったのだが、どうも、この格式張った雰囲気には慣れないらしい。
(…なんのサークルはいろっかなぁ…………。ま、いろいろ見学してみっか。)
学長の話に全く興味のなかった翔平は、これから訪れる大学生活に思いを馳せていた。