魔法をかけて


「ご入学おめでとうございます。」

白いテントがはられた下で、ゆめこと由佳は、新入生と保護者にプログラムを渡していた。

「…とにかく、間に合ってよかった。」
ゆめこがぽそりと呟くと、隣の由佳は鼻で笑った。
「おまえ、ひどいな!もとはと言えば、由佳が狂言でしょ!?」
「…ご入学おめでとうございます…。」
由佳は、ゆめこをスルーして、淡々とプログラムを渡していく。
「……くッ…!」

何か悔しいと思って歯を噛み締めていると、新入生の女の子からプログラムを要求され、慌てて手渡す。

「…ほんと、面白い。」
「はっ!かわいいだろ!萌え〜だろ!」

そんな風に由佳と冗談いいながらプログラムを配っていたら、入学式がはじまって人がまばらになったので、仕事を切り上げサークルへ向かった。


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